なぜ暗証印鑑が必要なのでしょうか?
結論から申し上げますと、例え暗証印鑑が偽造されたとしても本物か偽物かの判断が比較的すぐにできる、という利点があります。
逆に申しますと、従来の印鑑では偽造された時の真贋の判断が極めて難しいのではないかと考えております。
ではその前に印鑑とその重要性について簡単にご説明致します。
印鑑とは
そもそも印鑑(実印)とは、市町村などの地方自治体に登録された印影のことを指します。
印鑑は、実社会において非常に重要な役割を果たしております。
例えば、民法968条~970条に定められている「遺言書」に関する法律です。
この条文には「遺言書は印鑑等で押印しなければいけないこと」が明記されております。
また、不動産登記や会社の登記であっても印鑑が必要な場面が多々あります。
さらに民事訴訟法第228条第4項では「私文書は、本人又はその代理人の署名又は押印があるときは、真正に成立したものと推定する。」との規定があります。
この条文は言い換えれば「たとえ偽造された印影であっても、本人が登録した印影と同じものであればその人がその契約に同意したものとみなす」ということになります。
偽造された印影を証明するには
ではもしその契約書が偽物であった場合、どうすればよいのでしょうか?
それは偽造された側が「この印影は偽物である」ということを証明しなければなりません。
しかし従来までの印鑑では、非常に複雑な印影であれば偽造を防止できるものも中にはあったのかもしれませんが、逆に言うと印影以外での偽造防止方法はありませんでした。
またその印影が偽物であることを目視のみで確認することは困難だったのではないかと思います。
しかし暗証印鑑であればもし万が一印影を偽造されたとしても、比較的迅速かつ明確に偽造を見破ることができる、というメリットがあります。
また暗証印鑑の場合は印影のみならず、凹凸も含めた印影となっております。
そのためコピーやスキャン等による印影のみのデータからでは、完全に偽造することは事実上不可能ということになります。